自転車をテーマにする小説は数多くありますが、作品によっては機材の話とか専門用語とか、普段ロードバイクといったものに乗っていない人にとってはなかなか読みづらい作品もあるかもしれません。
普段自転車に乗っていたとしても、メーカー名とか部品とかに関心がない方もいますよね。
そんな、そこまで自転車に関心が強くないよ、という方にもおすすめの小説が、「風のヒルクライム ぼくらの自転車ロードレース」という作品になります(もちろん自転車好きにも当然おすすめですよ!!)。
あらすじ
山や丘陵の上り坂に設置されたコースを走る自転車ロードレース=ヒルクライム。
amazonより引用
13歳の誕生日、突然ロードバイクを医師の父親から贈られ戸惑う少年・涼太は、その一方的なやり方に反抗心を覚えたことから、
勢いでレースに出ることに。
両親に夢を託されている同級生、ママチャリに学生服のままで激走する高校生、涼太父の元患者父娘、ボランティアスタッフの女子高生…。
さまざまな人々の思いをレースの過程でつなぐ、息もつかせぬ展開。さわやかな自転車疾走小説!
群像劇であり、一つのレースをキャラクターを変えながら描いています。
それぞれの登場人物の走る動機、そして走ることによって生まれる変化が描かれています。
感想
児童文学ということで、小中学生向けとなるのでしょうか、難しい表現もなく1〜2時間で読み終わる物語だと思います。
とても読みやすいのですが、大人でも楽しめる物語でもあります。
レースを描く物語というと、自分の限界に挑む熱い物語というイメージが強いかと思いますが、どちらかというともう少し穏やかな雰囲気の物語となります。
例えば主人公の一人、涼太くんは親にプレゼントされたロードバイクで初めてのレース参加。
参加の動機も、「完走したらなんでも好きなことをしてやる」という父親との約束のためというもの。
普段家庭を顧みていない父親への反発とも言えますが、なぜ父親が彼にロードバイクをプレゼントしたのか、というのも読んでいくと明らかになります。
涼太くん自身は自転車への関心は対してなく、「父親はいつも父親の興味があって、そして自分の興味がないものを渡してくる」といったことを考えるシーンがありますが、父親あるあるすぎて笑ってしまいました。
なぜか父親って、子供が欲しい物じゃなくて、父親が好きなものを渡してくるって経験ありません…?
そんな親子のすれ違いがレースを通じて変化していくのがまた面白い。
レースに参加する中で、それぞれの登場人物がときにぶつかりながらも互いに理解を深めていく、そういった人間ドラマですね。
作品通して、自転車に関する専門用語などが少なく、自転車に詳しくないという方でも非常に読みやすいため、自転車の布教にもピッタリの一冊ですね!!
読み終わったとき、優しい気持ちになれる作品です。
少年少女はもちろん、日常に疲れた大人が読んでも楽しめ、ちょっと自転車に乗ってみようか、そう思わせてくれる爽やかな物語、おすすめです!!
kindleでも読めます。
他にもある自転車小説についてはこちら。
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