疋田さんの書いた『自転車ツーキニスト』という本は以前に紹介しましたが、疋田さんは他にも様々自転車に関するエッセイなどを書いています。
今回紹介するのは、『だって、自転車しかないじゃない』という本。
「自転車を好きになる」というテーマに対して、自転車の素敵なポイントを様々な角度から考察したエッセイとなっています。
内容
楽しくて速くて健康的で渋滞を起こさない自転車がブームといわれて久しい。3・11以降、自転車通勤も増えている。自転車をもっと楽しみ、有効活用しながら、先進国でワースト1の事故数を減らすための提案も。懐かしの広告、おすすめツーリングコースも紹介する。
amazonより引用
感想
「自転車ツーキニスト」は、著者の疋田さんが通勤に自転車を取り入れたことから楽しみが広がっていったよ、というエッセイでした。
今回の本も自転車の魅力を語る、というのは同じなのですが、その魅力を伝える角度がまた独特な一冊です。
例えば、自転車の歴史について。
自転車の歴史といえば、車輪を縦に並べるようになり、ペダルがつくようになって、タイヤにゴムが使われ、チェーンを利用するようになり、といった形で進化をしてきたもの。
そのいわゆる「普通の自転車の歴史」についても触れてはいるのですが(そして面白いのですが)、この本で一番力を入れて記載がされているのが、「ジュニアスポーツ自転車」というものについてです。
1960年代後半〜1980年前半ごろにかけて子供達に流行したという、(実用性に欠ける)様々なメカを搭載した自転車たちの歴史です。
メカとして紹介されているものとして、スピードメーターと風力計、これが自転車前部にバイクのタコメーターのようにくっついているモデルとか、変速機のレバーが自動車のシフトレバーのような形で搭載されているモデルとか。
他にも様々なメカが紹介されていますが、なんかカッコよく見えてくるのは自分だけでしょうか?
当時の子供達がそのかっこよさに夢中だった自転車たち、その歴史が描かれています。
そんなゴテゴテメカの中でも、現在に生きている技術も少しだけ存在しています。
全部が全部無駄だったわけではないんですね。
疋田さんの(過剰な)愛情に溢れた紹介となっており、世代だった人は懐かしく、世代でない人は新鮮な驚きを感じられるコーナーになっています。
他にも、自転車への規制に関する話題や、ツーリングポイントの紹介など、いろんな角度から自転車の魅力を発信しているこの本。
自転車に乗ろうか悩んでいる人の背中を押してくれる内容ですし、もちろん自転車大好きという人にとっても新しい楽しみ方とか発見を与えてくれる一冊だと思います。
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